2014年12月13日土曜日

『エターナル・サンシャイン』

 というわけで洋画だ。この間、最初の方を見始めて、これはしっかりしてるぞと期待していた『エターナル・サンシャイン』。何の予備知識もないので、ジャンルさえわからずに見始めたが、まあ恋愛映画なんだろうと単純に思っていた。ヒロインは『タイタニック』のケイト・ウィンスレットで、映画が始まってから20分近く経ってから流れるオープニングのクレジットを見ていると、この陰鬱な二枚目はジム・キャリーだって!? そのまま見ていると『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッドがちらっと出てくるから何事かと思わせる。これは伏線に違いない、と思ってるとはたして重要な登場人物なのだった。クリニックみたいな会社の受付嬢は『スパイダーマン』のヒロインのキルスティン・ダンストだし、そこの先生はもしやと思って調べるとやはり『孤独な嘘』で可哀想な主人公だったトム・ウィルキンソンではないか。
 かような豪華キャストで、演出もいい。見たい「洋画」の手触りってこういうのだよなあと思っているとあれよとSFになってびっくり。普通は最初からそのつもりで見るもんなんだろうが、こちとら予備知識0である。
 脳内の仮想空間を見せるのは『インセプション』が大掛かりで映像的にすばらしいし、映画的には凡作だったと思う『完全なる首長竜の日』も比較的最近に見た。それらよりも前の作品とはいえ、こちらが観たのは今日が初めてだから、ものすごく新鮮だとか画期的だとか思ったわけではない。それでもまあ、この映画の魅力の大半は、現実と脳内現実が混乱する複雑な構成なんだろう。ネットで低評価な人の言い分はここがよくわからない、理解できないというものだが、それは同情にも共感にも値しない。やはりこの混乱が、おそらくこの映画を見直す価値のあるものにしている。もちろんそれは撮影方法とか編集とかいった映像的な工夫でもある(CGは多用していないそうな)。だがやはりアカデミー脚本賞を獲った脚本の構成力だろう。
 伏線が意味を成し、ピースが嵌りだす後半まで、面白いなあと思って観ていて、最後の最後、結末にがっかりして全体には手放しの高評価はできなかった。結局「真実の愛」なの? このハッピーエンドが永続的なものだとは、全然思えない。一時の気の迷いじゃないの? という不信感を拭えず。

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