2017年11月12日日曜日

『ビロウ』-「潜水艦映画にハズレなし」とはいうものの

 「潜水艦映画にハズレなし」というフレーズを聞いたような気がするが、気のせいかと思って確かめてみるとネットでも頻出している。誰が言い出したものやら、人口に膾炙しているらしい。
 本作も、全然聞いたこともない作ながら、妙にうまい。
 潜水艦が水面下に没するとき、艦の両側から甲板に乗り上げてきた水が中央でぶつかって噴水のように吹き上がる描写とか、故障個所を直すために船外に出た乗組員たちをマンタの群れがとりかこむ幻想的な光景とか、大したものだと思う。
 潜水艦映画特有の、乗組員の移動に伴って、後ろをついていくカメラに映る艦内の機械類の操作や、乗組員のやりとりを軽やかに見せつつも、潜水艦内の圧迫感もしっかり描くという、お約束の描写も高いレベルだった。
 よくできてる! と感嘆しつつも、どうもジャンルがわからんと思っているうちにだんだんオカルトがかった描写が増えて、それも心理描写の一種かと判断しかねているうちに、結局ホラーじみた展開になった。『サンシャイン2057』も、SFに徹すればいいのになぜかホラーっぽい展開になって残念だったが、こちらも、サスペンスとミステリーくらいに抑えて、あとは人間ドラマで見せればいいのに、ちょっと残念。

 ここんとこ、『サンシャイン』『ペイチェック』とも、どうも展開が飛躍しているような気がするのは、放送枠のせいでカットがあるからかもしれない。こういう枠の放送で映画を観てはいけないということだろうが、といってテレビ放送ででもなければ、こんな映画を観ようとは思わなかっただろうし、難しいところではある。

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