2016年2月14日日曜日

『127時間』(監督:ダニー・ボイル)

 『28日後…』はもちろん、『スラムドッグ$ミリオネア』はさすがのアカデミー作品賞で、面白くないわけはない。どちらも、偶然の面白さとは思えず、明らかに監督の力量が並ではないことが感じられたから、この『127時間』も最初から期待している。
 そして期待に違わぬ出来である。
 序盤のアメリカ大陸の雄大な自然の美しさ。
 地下湖へのダイビングなどという、おそろしく印象的なエピソードをおいていること。
 そして肝腎の、身動きできない状態で過ごす127時間をどう描くか。
 これは一種の「ソリッドシチュエーション・スリラー」だから、その設定の中で起こりうるエピソードの発想と、それをどう演出するかに、脚本家と監督、そして役者の演技が否応なく問われる。そしてそれに応えている作品である。
 1時間半というコンパクトな展開で、これだけ密度の高いものを観られれば満足だ。だが、それ以上に想像を超えるものを観た、というほどの感動がなかったとも言える。だがまあ、そんな映画ばかりができるはずもない。良かった。

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