2015年6月5日金曜日

『おとなのけんか』(監督:ロマン・ポランスキー)

 ロマン・ポランスキーだというので観始めると、面白い、面白い。止まらずに一気に観てしまった(ま、それが普通だ)。
 観始めてすぐに娘が「たぶん原作が舞台劇だ」と言うのだが、調べてみるとはたしてそうなのであった。映画化するだけの価値のある戯曲を、ジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレットというアカデミー女優を揃えて、ロマン・ポランスキーが映画化するというのだから、面白くないわけがない。
 圧倒的な奇想を見せつけられるといった体の物語ではないが、ひたすら室内で繰り広げられる会話劇は、そこここに感情の波立つ微妙な瞬間が連続して、実に見事だ。一部には、ここは笑うとこなのかなあ、居心地の悪い思いをするところなのかなあ、などと迷うところもあったが。テーブルの上に置かれて「高かった」などと話題に上がるチューリップは、あんまりきれいじゃないよなあ、と思っていると、やはり滑稽だと感じるべき代物であるらしいことが展開の中でわかったりする。
 ネットでは「オチがない」とかいう批判もあるが、最後のエンドロールのバックで、「おとなのけんか」を余所に、そもそもの原因となった「けんか」の主の子供たちはもうすっかり仲良くなっているらしい姿が映されているじゃないか。

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