2015年1月26日月曜日

土日二日間で観たテレビ

 土日二日間で観たテレビあれこれ。

 NHK教育の「岩井俊二のMOVIEラボ」の第2・3回。この手の番組としては坂本龍一の「schola(スコラ)」と亀田誠治の「亀田音楽専門学校」同様、毎回面白いとは言い切れないが、観ないでいるのも勿体ない気がして録画しておく。若者がスマホで撮った1分間の短編映画「1分スマホ映画ロードショー」などはとりわけ気になる。やるな、と思ったり、この程度? と思ったり。雑駁な映画談義といった風のお喋りも悪くない。

 「テストの花道」は小論文特集で、気になったので。標準的で有用な内容だったが例えば息子との小論文指導バトルの時にそういう指導をしたかといえば完全にNOだな。全く書けない状態の生徒に対する指導としては必要だが、その先の指導についてはこういう番組で扱うのは難しいのだろうし。

 「SWITCHインタビュー 達人達」の「田村淳×猪子寿之」は、先週も途中からチャンネルを回したら、そのまま終わりまで観てしまったのだが、今週も同じ轍を踏んだ。猪子よりもすごいのは田村淳だ。どんな時間の使い方をしてこれだけの仕事やら遊びやらをこなしてるんだ。

 「日本人は何をめざしてきたのか 知の巨人たち」のシリーズをここのところ頑張って観ている。丸山真男、司馬遼太郎、吉本隆明と観て、土曜日の三島由紀夫も途中から観てしまった。中学生の国語の時間に、三島が割腹自殺したことなどを聞いて、何という感慨もなかったことを思い出したりして。個人の命よりも大事なものがあるんだ、それが日本だ、という考えを仮に認めたとして、そのために三島が命を投げ出したことが彼の言う「日本」をどのように守る(生かす?)ことになるのかはわからなかった。もちろん戦後が、個人の命より大切な国体という幻想への反動として「命」を何より最優先すべき価値としたことが日本人の堕落を生んでいるという議論はわかる。が、堕落であれ「命」が最優先というのは相当にラジカルな思想だと思う。疑う余地は残して良いが、否定するのは惜しい思想だと思う。

 以上NHK教育。

 民放では「NNNドキュメント’14 マザーズ 特別養子縁組と真実告知」。第10回日本放送文化大賞のグランプリを受賞したというドキュメンタリーだが、この間、平成26年度の文化庁芸術祭の結果を調べたときに、テレビ・ドラマ部門で優秀賞を受賞した「マザーズ」というのも、このドキュメンタリーを元にしているものと思われる。制作は同じ中京テレビ。養子縁組で結ばれた親子にとって、養子という真実の告知は避けるべきではないのか? 関係者の経験に拠ればこれは避けない方が良いのだそうだ。では、暴行による妊娠によって生まれた子供を養子に出した場合、その事実を告知すべきか?
 問題の難しさもさることながら、性的被害者である高校生が葛藤の末に養親に赤ん坊を預けるまでの過程に胸が詰まる思いだった。そして何より、養子縁組みが(少なくとも番組の中では)養親と生みの親のどちらをも救っているように見える結末が感動的だった。

 年末にテレビ朝日系列で「松本清張二夜連続ドラマスペシャル」の第一夜として放送された「坂道の家」は、脚本:池端俊策、監督:鶴橋康夫という「おやじの背中」での仕事の評価に確信をもちたくて観ようと思っていた。結局一ヶ月以上経ってからようやく観た。
 つまらなかった。「ウェディング・マッチ」で奇跡のようなカメラ・ワークを見せた鶴橋の演出は、ここでもそれなりに意識して観ると職人芸なのだが、いかんせん物語がつまらない。予想される設定で、まったく予想される展開と結末。「情念」とやらを描きますという狙いがあからさまに見えて、うんざり。「おやじの背中」では第8話の「駄菓子」で大泉洋をまるで生かせなかった池端の脚本は、ここでは柄本明の老残の嫌らしさを生かし切っている(というか柄本がうますぎる)のだが、そもそもこちらがそういう「情念」を観たいと思っていないのだった。尾野真千子の悪女ぶりも、どうにも型にはまって、今更こうした人物造型を、どんな受け手が希求していると思って作っているのか。

 一方「ウェディング・マッチ」の脚本の坂元裕二の『問題のあるレストラン』は第二回も申し分なく面白かった。「このままだと神ドラマの予感だな」とは息子の弁。

 まだなんかありそうな気もする。いや、よく観た。

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